
普段、何気なく使っている鼻。ついているのが当たり前で、特に気にしたことはないのではないでしょうか。
目や耳は左右に二つずつついているのに、なぜ鼻は一つで穴は二つ。
この小さな二つの穴には、私たちの体を守るための様々な役割が隠されています。今回はその鼻の穴の役割について書いてみました。
ちなみに1029にゃんにも、鼻の穴は二つあいています。

鼻は真ん中で鼻中隔という壁によって、左右に分かれています。
下向きについている鼻の穴から吸い込まれた空気は、いったん上方に向かい、その後半円を描くように後ろに流れていきます。
鼻の中では、上鼻甲介、中鼻甲介、下鼻甲介と呼ばれる3つの突起状のものが、空気の流れや取り込む量を調整しています。
鼻から吸われた空気は、鼻の中でジェット気流のような動きをして、効率よく空気を吸い込んでいるのです。

よく「鼻は空気をすうためにあり、口は物を食べるためにある」と言われています。
口呼吸では、横隔膜を沢山動かさなくてはならないため、呼吸が浅くなります。
一方、鼻呼吸の場合、鼻の穴の複雑な構造により、少しの力で肺の奥まで酸素を届けることができます。
口呼吸により呼吸が浅くなった結果、常に体に酸素が足りない酸欠状態が続くと、
集中力の低下、頭痛、疲労、筋力の低下、免疫力の低下、まど、さまざまな不調を引き起こす可能性があります。
また、口呼吸の場合、加温や加湿が十分行われないまま、空気が肺に入ってしまいます。
さらに異物やウイルスも直接侵入するため、インフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなります。

鼻から吸い込んだ空気は、鼻の奥に到達するまでに適温に温められます。
冬の北海道の冷たい空気も、鼻の中を通ることで24度程度まで上げることができるのです。
また、温度だけでなく湿度も調整しています。温度と湿度を調整することでほどよい結露を作り、これが鼻水となって、次の息を吸う時の加湿に再利用さています。
また、空気に含まれる病原体やほこりは、鼻毛や鼻粘膜を覆う粘液でろ過され浄化されます。
鼻は肺に無理な負担をかけないよう、空気清浄機能が付いた加湿エアコンのような働きをしています。

鼻の天井部の粘膜にある「嗅上皮」という切手1枚程度のスペースに、匂いを感知する嗅細胞が200万個も存在します。
空気と一緒に入ってきた匂いが嗅細胞に届くと、その情報が脳の嗅覚中枢に届き、匂いを感じます。
匂いよって記憶がよみがえる経験は、においの神経が感情や記憶をつかさどる大脳辺縁系という部分と結びついているため、引き起こされるのだと考えられています。
ちなみに、鼻づまりなどをおこし、口で呼吸をしているときには、においがわからなくなります。
これは、化学物質が嗅上皮に届かないことによって、においの信号が脳に届きにくいことからおこる現象です。

鼻がつまると鈍いこもった声になることがよくあります。
声帯で生じた音はのどや鼻の中の空洞で複雑に反響して複雑な響きのある声になります。
鼻がつまると鼻の空洞が微妙に変化して、いわゆる「鼻声」になるのです。

実は、私たちの鼻は、自律神経の働きによって、数時間ごとに鼻腔内の血管が拡張したり収縮したりを繰り返し、左右交互に鼻詰まりを起こしています。
これを「ネイザルサイクル(交代制鼻閉)」といいます。
鼻の穴に手を当ててみると、今どちらの穴で呼吸しているかがわかります。
この鼻づまりは、約2~3時間ごとに交代しています。
なぜ2交代制で働かせているかというと、詰まっている鼻を休ませることで、鼻の機能を修復させているのです。

コロナ禍以降、マスクの着用が当たり前となり、口呼吸になってしまった方が増えました。
口呼吸を治したい場合、歯並びの矯正や、顔と舌の筋肉を鍛える方法などもあります。
しかし何より鼻が詰まっていては、いくらトレーニングしたところで、口呼吸に戻ってしまいます。
昔に比べ、アレルギーを持っている方が増えました。
アレルギーによる鼻づまりだけでなく、食生活や添加物でも鼻づまりを起こす場合があります。
飲み会の翌日や食べ過ぎた後、鼻が詰まっているという経験はありませんか?

人は一日に2万から2万5千回呼吸をしていると言われています。
今の健康は過去の自分が作ったもの、未来の健康は今の自分が作り上げていくものです。
1日2万回以上行われている呼吸を、当たり前に考えず、一度見直してみて下さい。
ひとくちに鼻づまりといっても、様々な原因があり、それぞれの症状に対応する漢方もあります。ぜひお気軽にご相談下さい。
